どうも、アベケン(@abekenblog)です。
先日Twitterでこんな内容をつぶやきました。
今回はこのつぶやきを少し深掘りして、ウェイトトレーニングを行うメリットとデメリット、逆にウェイトトレーニングをやらなかった場合のメリットとデメリットを科学的根拠と主観を織り交ぜて考えてみたいと思います。
ウェイトトレーニングをやった場合のメリット
ケガの抑止
ウェイトトレーニングを実施することで競技動作におけるケガの受傷率を30%ほど引き下げるといった研究結果があります。また、サッカーや他のスポーツと比較してウェイトトレーニングのケガ受傷率はとても低く、ケガをしづらい環境の中でケガの受傷率を下げることが可能です。さすがに落車した時の擦過傷なんかは無理ですけど…。
短時間・高強度のパフォーマンス向上
これはもうウェイトトレーニングの本領発揮なんじゃないでしょうか。短時間・高強度のパフォーマンス、具体的には5秒から1分くらいまでのパフォーマンスは劇的に向上しました。今まで精いっぱい頑張ってようやく700Wくらいだったスプリントが900Wくらいでスプリントできるようになりました。(元のパフォーマンスが低すぎるのでは…というツッコミは謹んでお受けします。自覚あります。)
筋力の向上
上の内容と重複する部分がありますが、発揮する筋力の増加、特に股関節を伸展させる筋力にフォーカスを当てたウェイトトレーニングを実施しているので、当然ですがその部分の筋力は向上します。より強く、速く股関節を伸展させることができるようになった結果、短時間・高強度のパフォーマンスが上がったのではないかと考えられます。
サイクリング・エコノミーの向上
主観ではわかりづらい部分ですが、ウェイトトレーニングを行うことで競技動作の効率が上がるのではないかという研究があります。そのため同じ強度でもより長く競技動作が行えるようになるのではないかと考えられています。
ウェイトトレーニングをやった場合のデメリット
筋肉痛
ウェイトトレーニングと筋肉痛は切っても切れない関係ですが、筋肉痛が出ると身体を動かす気力も無くなるし、競技動作にも影響が出ます。そのため筋肉痛はなるべく出ない方がいいのですが、これはウェイトトレーニングを続けることによる効果(Repeated bout effect)とウェイトトレーニングのボリュームをコントロールすることで最小限に抑えることが可能です。完全になくすことはできませんが…。
筋疲労
ウェイトトレーニングは筋肉にとって高い強度の運動となるため、トレーニング後は当然疲労します。疲労させるのが目的ではありませんが、高い強度の運動を繰り返すことによって筋肉はより高い強度での運動に耐えられるようになっていきます。
この疲労が競技のトレーニングや練習に影響する場合があります。
筋肉が疲労すると当然ながら高い強度の運動はできません。パフォーマンスが一時的に低下するため、競技のトレーニングや練習の内容を変更する必要がある可能性がありますし、筋疲労している前提でメニューを考える必要が出てきたりとトレーニングの内容や練習の内容が複雑化します。
ウェイトトレーニングをやらなかった場合のメリット
練習・持久トレーニング時間の確保
ウェイトトレーニングをやらないという選択肢を取った場合、その分持久トレーニングの時間が確保できますし、競技の練習もできます。週当たりの練習・トレーニング用の時間として確保できる時間が少ない場合はいっそのことウェイトトレーニングを切り捨てて競技の練習や持久トレーニングに時間を費やすといった戦略もアリです。そちらの方が結果としてパフォーマンスが向上する可能性ももちろんあります。
シンプルかつコントロールしやすいトレーニングプログラム
ウェイトトレーニングをやった場合のデメリットの項目でも書きましたが、ウェイトトレーニングを実施した時に発生する疲労をコントロールする必要が出てくるため、トレーニングのプログラムが複雑化します。
その点ウェイトトレーニングを行わないプログラムは競技の練習とトレーニングのメニューとなるため比較的シンプルなプログラムになります。
シンプルなプログラムはコントロールしやすく、自分の状態を把握しやすいため練習やトレーニングの中で「何をやるか」を決めやすいです。
ウェイトトレーニングをやらなかった場合のデメリット
ケガのリスクの増加
「ウェイトトレーニングをやった場合のメリット」とほぼ丸かぶりな内容(言葉を逆にしただけ)になりますが、ウェイトトレーニングをやった時のケガ抑止の効果を享受できない=ケガのリスクが増えるという図式です。
特に自転車におけるケガの種類として腰痛、膝痛が多くありますが、これらの予防としてウェイトトレーニングは有効であると私は考えています。
ケガした時のトレーニング代替手段の欠如(私見)
これは周りの自転車乗りを見ていて感じることですが、競技の練習・持久トレーニングのみのシンプルな形で日々練習・トレーニングを実施していると、いざケガをした時にパフォーマンスを維持する代替手段が存在しないのはウェイトトレーニングを実施しないデメリットになりうるのではないかと感じています。
ケガから早く復帰するにはもちろん安静にする必要がありますが
・ケガをしていない部分の強化
といった視点も必要です。
例えば膝の痛みや下肢の肉離れ等で練習や持久トレーニングができないといった時に「じゃあ上半身を強化するメニューに取り組もう」とか、「体幹のメニューなら痛みなくできそう」といった引き出しがあるかないかで練習・持久トレーニングができない期間のトレーニング効果の減少(Detrainingの進行)を遅らせることができます。
まとめ
ウェイトトレーニングを実施した時にもメリット/デメリットは存在します。そして実施しなかった場合にもメリット/デメリットは存在します。今回はそれらを列挙してみました。
私はウェイトトレーニング推奨派なので、ウェイトトレーニングを実施する方のメリットが大きくデメリットが少ないようなバイアスがかかってしまっているのは認めます。
ただ、様々な研究結果からウェイトトレーニングを実施した場合のメリットが多いことは事実であり、デメリットはプログラムの組み方と継続することである程度軽減することが可能です。
ウェイトトレーニングをやる/やらないに関わらず最終的な目的が「競技力の向上」なのであれば導入するメリットは大きいと私は考えます。
競技力向上を目的としたウェイトトレーニングに対する考え方は河森先生の著書「競技力向上のためのウェイトトレーニングの考え方」がオススメです。
※編集後記※
私用のノートPCを買い換えました。以前までは「大は小を兼ねる!画面はデカければデカいほどいい!テンキーは絶対必要!」と考えていたのですが、結局テンキーはログイン時のPINコード入力する時くらいしか使わないし、持ち運びに不便でほとんどデスクトップPCのようにしか使わなかった経緯から今回は小さくて持ち運びに便利そうな機種にしました。論文読むくらいであれば画面は13インチあれば十分ですし、持ち運びにも便利そうです。