どうも、アベケン(@abekenblog)です。
競技として自転車に乗っている方には筋トレ、特にケツにフォーカスをあてた筋トレを推奨しているのですが、「何故そんなにケツにフォーカスをあてて筋トレする必要があるのか?」の理由が自分の中でイマイチ言語化できていませんでした。
最近ようやく自分の中でまとまりつつあるので、今回はタイトル通り自転車乗りがケツを鍛える理由をまとめて記事にしてみたいと思います。
1.単純に股関節伸展に関与する筋肉が増える
ケツ(ここではあえて特定の筋肉名は使わず、全体として「ケツ」と言ってます)は股関節を伸ばす時に使われる筋肉です。
そのためケツを鍛えることによって単純にペダルにより強い力を加えることができるようになります。
自転車の速度はペダルに加える力(トルク)とペダルの回転数によって決まります。より強い力をペダルに加えることができるようになれば速度アップに繋がります。
2.ハムストリングや大腿直筋の負担軽減
自転車のペダルを回す動きは(自転車だけじゃなく、歩いたり走ったりするときも同じですが)
・股関節を伸ばしたり曲げたりする動き
・膝関節を伸ばしたり曲げたりする動き
・足首を伸ばしたり曲げたりする動き
これらの複合的な動きから成り立っています。
例えばペダルを上から下に動かそうとした時、股関節を伸ばしながら膝関節も伸ばして、足首は極端に曲がらないように伸ばす(結果として足首は90度くらいが維持される)…といった具合です。
この中でケツは股関節を伸ばす時に使われます。
股関節を伸ばすための筋肉としては太ももの裏側(ハムストリング)があるのですが、この筋肉は膝関節をまたいで付着しているので、例えばハムストリングを使って股関節を伸ばそうとすると膝は曲がる方向に動きます。
ペダルを上から下に動かそうとした時に股関節と膝関節は同時に「伸ばす」方向に動きます。そうした時にハムストリングがメインとなると膝は曲がる方向に動作するため、動きとしては効率の悪い動きとなります。同時に大腿直筋は膝を伸ばす方向に動きますが、こちらは股関節を曲げる方向に動くので、この二つの筋肉を中心としたペダリングは非効率であると考えられます。
それに対してケツは股関節を伸ばす時にのみ使用されます。そのためケツが股関節を伸ばす時に使われる割合が高いほどハムストリングや大腿直筋を使わずにすみます。
まぁ実際には運動中に「ケツの筋肉を使ってペダルを回す」なんてことはできません。結局全部の筋肉を総動員して身体を動かしているわけですが、例えば10の出力のうち8をハムストリング、2をケツで動かしていたものが4をハムストリング、6をケツで動かせるようにしたらより効率的な動きができるようになります。使えないよりは使える選択肢が多い方が有利ですし、使える部分の出力は大きいに越したことはありません。そのためケツを鍛えるのは有効です。
また、大腿直筋は持久力に優れた筋肉ではないためペダリングにおいて多用するとすぐに痛くなったり膝の痛みにつながったりするので、そういった意味でもケツを鍛えるのは有効です。
3.つま先荷重でもケツが主動になるようにする
クリート(足とペダルを固定する器具)の位置は個人差があって千差万別なのですが、ケツを鍛えるウェイトトレーニングを続ける中での自身の気付きとなるため万人には当てはまらないことを前提とさせてください。
ケツをメインにペダルを回すためにクリートの位置をかなり土踏まずよりに設定していたのですが、最近この設定に違和感が出てきたのでクリートの位置をつま先よりに調整し直しました。
通常つま先よりにクリート位置を調整すると、太ももがより強く作用するようになります。例えばつま先で立とうとすると太もも前側に力が入ると思いますが、それと同様です。
ケツを鍛えてペダリングにケツの関与が大きくなってくると、つま先よりに荷重がかかるようにクリート位置を設定してもケツがメインで使われるようになりました。
つま先への荷重はダッシュや瞬間的な高出力に適していますが、ケツがメインに使われることによってつま先よりに荷重を変えてもケツによる長時間のペダリングと瞬間的なダッシュを両方行うことが可能になります。走り方の選択肢が広がるという意味でこの変化は個人的にかなり大きかったです。
まとめ
ケツを鍛えることによって、どんな変化があるかをまとめてみました。特に膝に痛みがあったり、太ももがすぐに疲れて長時間乗れない…なんて人はケツを上手く使えていない可能性が高いです。その場合はケツにフォーカスをあてたウェイトトレーニングは有効です。
ただ、どんなトレーニングにも言えることですが身体の変化は一朝一夕では起こりません。ある程度長期的に取り組んでふと気付いた時に「あれ?なんかちょっと変わってる?」ぐらいの変化です。自分がクリート位置を調整したのもごく最近です…(ケツにフォーカスしたウェイトトレーニングはやり始めて3年ほど経過してます…)
このごく小さな変化に価値を見出すかどうかはそれぞれの価値観によりますが、身体の不具合を減らし、長期的に競技を楽しみたいといった方は持久トレーニングの合間にケツのウェイトトレーニングに取り組んでみてください。
「ケツのウェイトトレーニングなんてどうやったらいいかわからん!」って方はトレーナーの方にフォーム指導をしてもらうのが一番の近道です。自分は河森博士に指導をお願いしています。
※編集後記※
4回目のワクチン接種を終えました。ワクチンを接種すると副反応で翌日は丸一日動けないのですが、その度に健康のありがたさを痛感します。痛みや怠さなく身体を動かせるのって素晴らしいことだなぁと毎回思えるので半年ごとのワクチン接種はそういう意味でも悪くないかもしれません(笑)