どうも、アベケン(@abekenblog)です。
本ブログでは自転車乗りに対して「ウェイトトレーニングしようぜ!」と発信する内容が多いですが、ウェイトトレーニングの優先度ってどの程度なんでしょうか?今回はこのあたりを深掘りしてみようと思います。
ウェイトトレーニングをするとどんな能力が向上するか?
ウェイトトレーニングに取り組むことで一体どんな能力が向上するでしょうか?
競技の種類に関わらずに言うと、主に「短時間・高強度」の能力が向上します。
自転車のパワートレーニングに取り組まれた人は時間毎のパワープロフィールなんかを作成したことがあるかもしれませんが、ウェイトトレーニングは1秒~60秒以下の能力に大きく貢献します。(下図の数字や線の曲がり具合はテキトーです。)

また、RFD(Rate of Force Development:力の立ち上がり率)が向上することで、大きな力をより素早く発揮することができるようになります。
自転車競技の特性
自転車は競技の特性上、「低強度・長(超)時間」パワー発揮することが求められます。
また、筋力よりも心血管系の能力の優先度が高く、心肺機能>筋力といった図式が成り立つと言っても過言ではありません。
そのため、一見するとウェイトトレーニングで向上する要素は不要なのではないか?と思われる方もいるかもしれません。
ただ、これが競技となると一定のペースで走るだけでは結果を出すためには不十分です。
例えばこんなシーンが想定できます。
・集団やトレインの中で体力を温存するために細かいペースの上げ下げに対応する
・ゴール前で全力のスプリントをする
・アタックや逃げに対応する
・路面の傾斜の変化に対応するetc…
これらからも分かるように、競技になるとどうしても周囲の状況に合わせて高強度を出す必要があります。
先日行われた富士ヒルでもタイムを出すためにトレインを組んで走られている方もいたようで、そういった場合でも先頭を走る人の微妙なペースの上げ下げに合わせたり、ローテーションの際のパワーの上下に対応する必要があったり、傾斜の変化に伴う速度の変化に合わせて強く踏んだりしなければならないシーンは多々あると思います。
ウェイトトレーニングを取り入れた方がいい人
上述したように、競技であれば多少なりとも「短時間・高強度」のパワー発揮を求められます。
そのため以下のようなシーンに多く出会う人はウェイトトレーニングを取り入れることでより競技力が向上する可能性があります。
集団やトレイン内の細かい上げ下げが辛く、中切れを起こしがちな人
前走者との距離をなるべく詰めて風の抵抗を最小限に抑えることで体力の消耗を防ぐことを目的とする集団やトレインですが、これらは一定の強度で走っているわけではありません。先頭の交代やアタック、ローテーション等が発生するため集団の中で細かい上げ下げは当然発生します。
この細かい上げ下げに対応するためには瞬間的に高いパワーを出したり、前走者の速度変化に素早く反応するといった能力が求められます。ウェイトトレーニングはこれらを補ってくれる可能性があります。
前走者との距離が空いてしまい、距離を埋めるのに頻繁に足を使ってしまう人
中切れと少し似ていますが、前走者と距離が空いた場合、当然それを埋めるために前走者よりも速い速度を出して追いつく必要があります。
そのためにはより高いパワーを一時的に出す必要があり、前走者との距離が長ければ長いほどより高いパワー、より長い時間を必要とします。(そもそも前走者との距離が開かないようにすればいいという意見はここでは横に置いておきます)
ウェイトトレーニングを取り入れて短時間・高強度の出力を向上させることで前走者に速く追いつく、そもそも前走者との距離が空かなくなるといった効果が期待できます。
この辺は当方のウェイトトレーニングの先生である河森博士もブログで取り上げています。

競技色が強いレースに参加している人
レースにおいて一定ペースで展開するシーンはほぼありません。
アタックやスプリント、周回ポイントの獲得といった多くのシーンにおいて短時間・高強度のパワーは必要になります。
ロードレースやクリテリウムに参加されている方はもちろんですが、傾斜や勾配の変化に対応するといった意味ではヒルクライムやエンデューロに参加されている方のパフォーマンス向上にも寄与する可能性があります。
スプリンター
これはもうあまり語る必要もないと思いますが(笑)
ゴール前で競う選手にとって短時間・高強度のパワーは何よりも重要視しなければならない要素です。
競輪選手やトラック競技の選手はもちろん、ゴール手前100~200メートルの距離を全力で駆け抜ける必要のある選手は私が言うまでもなくウェイトトレーニングを取り入れていると思います。
シクロクロスやMTB等のオフロード競技をやる人
ロードの選手が冬に行うシクロクロスや、MTBに乗る人はウェイトトレーニングの恩恵を多く受け取れる可能性が高いです。
というのも急こう配の坂を駆け上るシーンや自転車を担いで走る、ぬかるみや砂といった不安定な状態での姿勢制御、加速…オフロード競技は短時間・高強度の連続で成り立っています。
ウェイトトレーニングを取り入れなくてもいい人
競技歴が浅い
自転車競技で優先度の高い能力は心肺機能です。まずは心肺機能向上のための持久力トレーニングにフォーカスを当ててトレーニングをする人はひとまずウェイトトレーニングは置いておいてもいいでしょう。
持久力トレーニングの中でも競技に必要な筋力はある程度つきます。
もっとこうした走り方がしたい、走りに幅を持たせたいといった方向性が見えてきたタイミングでウェイトトレーニングを取り入れても遅くはありません。
もうすぐ大事なレースがある
これに関してはタイミングの問題ですが、大事なレースの直前でウェイトトレーニングを取り入れても効果が薄いばかりか逆にパフォーマンスを阻害する可能性があります。
ウェイトトレーニングの効果は一朝一夕では現れません。年単位で取り組んで初めて効果が表れるものです。
そもそもレースに参加しない
他人と競う必要がなく、短時間・高強度のパワーの必要性をあまり感じない方もウェイトトレーニングの優先度は低いかなと。
パフォーマンスを改善する必要性が低いパターンです。
自転車に関係なく、ウェイトトレーニングは健康全般に寄与しますが、これはまた別の話になるので割愛します。
まとめ
自転車競技においてウェイトトレーニングが寄与するシーンをまとめてみました。
「競技」として他人と競うことを前提とした場合、ウェイトトレーニングは多くのシーンにおいてパフォーマンスに寄与します。
走り方にも幅が出ますし、今までであれば諦めたりちぎれていた展開で粘れたり、着に絡むことができたりするかもしれません(展開についていける持久力が備わっていることが前提ですが…)
今一歩及ばないなー、自分には武器が足りてないと感じる方はウェイトトレーニングの導入をオススメします。
※編集後記※
急に暑くなりましたね…暑さに身体が慣れずに体調を崩しております…。