SFR(低ケイデンストレーニング)を考える

トレーニング
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どうも、アベケン(@abekenblog)です。

自転車のパフォーマンス向上を目的として行うトレーニングのひとつに低ケイデンストレーニング(以下SFR)があります。

このSFRは昔から行われてきた伝統的なトレーニングであり、効果に関しても賛否両論あります。

この記事ではSFRに関して掘り下げ、どんな効果があるのかを考察していきたいと思います。

時間がない人向けの先出し結論

ペダリングの効率化(サイクリングエコノミーの向上)には効果がありそう!

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SFRトレーニングとは?

SFRは(Slow Frequency Revolution)の略で、「ゆっくり回す」という意味です。

SFRトレーニングは、普段使うケイデンスよりも低いケイデンスになるようギアを重くし、重いギアを低いケイデンスで回すトレーニングです。

上りやローラーを利用して行われます。

ではこのSFRトレーニング、どんな効果があるんでしょうか。

研究結果

低いケイデンスを用いたトレーニングに関する効果をまとめた論文(1)では、7つの研究結果をまとめたシステマティックレビューを行っています。(2017年なので少し古いですが)

※システマティックレビューとは複数の研究を一定の条件のもと比較する統計的な手法で最もエビデンスレベルが高いとされています。

レビューの中では効果があったとしている研究もあれば効果がなかったとしている研究もあり、結果に一貫性がなくさらなる研究が必要という内容で締めくくられています。

実験の方法やインターバルの長さ、用いるケイデンス数等も研究によって異なるので、現状効果があるのかどうかが不明…という結論のようです。

7つの研究結果それぞれを見てみると傾向として

・(高いケイデンスと比較して)タイムトライアルやパワーは向上した研究結果が多い傾向がある

・VO2max(最大酸素摂取量)に関しては結果に一貫性がない

といった風に解釈しました。

私の解釈が合っているかどうかは大いに疑問が残るところではありますが…。

SFRは全く意味がないのか?

SFRトレーニングは、「普段のトレーニングで常用するケイデンス数よりも低いケイデンスを用いて行うトレーニング」です。普段よりも重い負荷を競技動作に加えることはどんな意味があるのでしょうか?

個人的な意見ですが、基本的に「筋力を向上させる」という目的で競技動作(ここではペダリング)に負荷を加えることには反対です。

ケガのリスクが高く、効果が低いからです。

筋力を向上させるのであれば、自転車から離れてウェイトトレーニングを行った方が効率的です。

ではペダリングに負荷をかけるSFRにはどういった意味があるのでしょうか?

それは、「ペダリングの効率化(サイクリングエコノミーの向上)」につながると考えます。

詳しく説明します。

ペダリングの効率化(サイクリングエコノミーの向上)

自転車のクランクは回転体であり、円運動を行います。力を加えることによって回転し、推進力に変換されます。

では、どの方向に力を加えるのが最も効率がいいでしょうか?

それは「円の接線方向(円周に対して90度の方向)」です。

下手くそですがExcelで図を作ってみました…伝わりますでしょうか。

クランクを回す時に、赤い矢印方向(クランクアームに対して90度方向)に力を加えるのが最もロスなくクランクを回せるということを伝えたい図です(笑)

普段使用しているケイデンスよりも低いケイデンスを使用している場合、同じ速度で進む場合はより強い力を必要とします。

パワー = トルク(力の強さ) × ケイデンス

なので、高いケイデンスと低いケイデンスで同じパワーを出したい場合、トルクを高くするしかありません。

より強い力をクランクに加えるとき、人の身体はより効率的にクランクに対して力を加えようとします。そうした時、力の方向が自然と効率的な向きになっていきます。

SFRトレーニングは効率的にクランクを回すための「力の向きを改善させる」のに役立つと考えられます。

実際、競技動作に負荷を加えることによって、力の向きが改善されたといった研究結果もあります。(2)これは自転車のペダリングに関する研究ではありませんが、「競技動作に負荷を加えることによって力の向きをより効率的に改善できるのではないか」ということを示唆しています。

まとめ

SFRトレーニングは力の向きを改善させるためには有効なトレーニングかもしれない!という内容でした。

今はパワーメーター等が普及し、個人レベルでもパワーベクトル等が見れる機能がついているものもあるため、そういった機器を利用してトレーニングしてみるのも面白いかもしれません。

ただ、持久力の向上や最大酸素摂取量の改善に関しては効果が不明なため、仮に実施するとしてもドリル的に行う程度にとどめておきましょう。SFRをメインのトレーニングとして据えるのはおススメできません。SFRトレーニングに対する優先度は人それぞれですが、多くの人にとっては優先度の低いメニューになりそうだなぁというのが個人の意見です。

なお、より強い力を要するトレーニングとなっているため、多少なりともケガのリスクが上がることが想定されます。

また、上りと平坦ではクランクに対する力の入れ方や身体の使い方が異なってきます。

もし取り組む場合は自分の目標に合わせて実施してみることをおススメします。

~参考文献~

(1)Hansen EA, Rønnestad BR. Effects of Cycling Training at Imposed Low Cadences: A Systematic Review. Int J Sports Physiol Perform. 2017 Oct;12(9):1127-1136. doi: 10.1123/ijspp.2016-0574. Epub 2017 Jan 17. PMID: 28095074.

(2)Kawamori, N., Newton, R., & Nosaka, K. (2014). Effects of weighted sled towing on ground reaction force during the acceleration phase of sprint running. Journal of Sports Sciences32(12), 1139–1145. https://doi.org/10.1080/02640414.2014.886129

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※編集後記※

毎日暑すぎて1mmも外に出る気になりません…。

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