どうも、アベケンです。
ロードバイクを含めたいわゆるスポーツ自転車に乗ると必ずと言っていいほど直面するのが「腰痛」です。
「長時間乗ると腰が痛い…。」
「ヒルクライムやった翌日は腰が痛くて痛くて…。」
あるある過ぎてもはや通過儀礼と言っても過言ではない腰痛ですが、スポーツ自転車に乗り始めたばかりの初心者に限らず、それなりの年数乗っている方にも発生する場面はあります。私自身も腰痛に悩まされたのは自転車に乗り始めてから3年程経ってからです。
そこで今回は腰痛が発生する理由と、腰痛を緩和するための対応方法に関して考えてみたいと思います。
何故腰痛は起こるのか?
腰痛は腰に負担がかかることで発生します。
自転車に乗ることで腰痛が発生するのは腰に負担がかかるような乗り方をしているからですが、腰に負担がかかる乗り方とはどんな乗り方でしょうか?
現時点で考えられることは以下の通りです。
・過度な前傾姿勢
・過度なトルクをかけたペダリング
・背中やお尻の筋肉の過緊張
・それらの複合的理由
他にもたくさんの理由が考えられますが、ひとつひとつを取り上げるとキリがないので代表的なものとして上記をピックアップしました。
過度な前傾姿勢
過度な前傾姿勢とは、上半身の筋力で姿勢を支えることのできる範囲を超えてしまっている前傾姿勢です。本来であれば上半身の筋力で支えるべき前傾姿勢をより筋力の低い腕や腰で支えるような体勢であったりすると、時間が経過するにつれて負荷に耐えきれなくなり痛みとなって出現します。
・腕がピンと伸びた状態
・腰が反った状態
スポーツ自転車に初めて乗る方によく見る状態ですが、これはその人にとって
・前傾を支える筋力が不足している
・ハンドル位置が遠い
・ハンドル位置が低い
といった理由が考えられます。
過度なトルクをかけたペダリング
例えば激坂を登る、レースに参加してアタックに対応する、高強度の練習に参加する…そういった状況で低いケイデンス、あるいはケイデンスがそれ以上上げられないような場面でより高い推進力を必要とした場合、普段使用しないような高いトルクに頼らざるを得ない為に腰痛が発生する可能性が高いと考えます。
自転車における推進力はトルク(クランクを回す力)とケイデンス(回転数)の組み合わせです。
ケイデンスが上がらない、もしくは上げられない状態でより高い推進力を出そうとするとトルクに頼らざるを得ませんが、高いトルクを無理矢理出そうとすると人の身体は腰を丸めます。
脳は優秀なので、目の前にあるタスクを手持ちの材料で何とかこなそうとします。「え!?今より高いトルクを捻り出せ!?できらぁ!」そうして腰を丸めてより高いトルクを出させようとします。身体的にはそっちの方が効率が良いからです。後から支払う代償(腰痛)は…考慮されません。脳にとっては目の前にあるタスクが全てなのです…。そのため
・高トルクでペダルを踏まざるを得ない状況
・身体がトルクに耐えられない
といった理由で腰痛が発生する可能性があります。
「腰を丸めて高いトルクを捻り出す」のは、「重い物を持ち上げる」時と似ています。ギックリ腰をやる時は、大抵腰が高い位置にあって、腰を丸めた状態から重い物を持ち上げようとした時です。
背中やお尻の筋肉の過緊張
身体の筋肉は単体で動作することはなく、他の筋肉と連動して動いています。腰は背中やお尻といった比較的大きな筋肉に挟まれるような形で動いているため、それらの筋肉が酷使され、硬くなることで上下に引っ張られ、痛みを伴うこともあると考えます。
腰痛対策としてどんな方法があるか
もちろん腰痛の原因として他の理由も考えられますが、大多数の人に当てはまる内容としてはこの辺なんじゃないかなぁ~と。
ちなみに私の腰痛原因は「過度なトルク」でした。レースやヒルクライムに積極的に参加するうちに無理せざるを得ない状況に追い込まれていった結果、無理矢理重たいギアを踏み続け腰痛を悪化させました。
そこで、これらを解消するための方法を考えてみます。
・乗車ポジションの見直し
・マッサージやリカバリ
・筋力強化
・自転車の乗り方を変える
乗車ポジションの見直し
筋力不足やハンドルの位置が遠い/低い場合はその人に合ったポジションに調整することで痛みが出なくするようにすることは可能です。
ハンドルをより近く/高くし、上半身の負担を少なくすることで腰痛を緩和することができると考えます。
スポーツ自転車なので、より上半身の低い乗車姿勢の方がカッコ良く見えますが、痛みを伴ってまで格好良さを追求してもその先に待っているものはあまり実りのあるものじゃないかなぁと。
それなら最初は少し不格好になりますが、ちょっと辛いかな?というポジションで身体を慣らし、少しずつハンドルを遠く/低くしていくことでよりレーシーなポジションにしていく方法も考えられます。
ただ、スポーツ自転車は深い前傾姿勢を前提として作られた乗り物です。ハンドルを近く/高くすることで確かに上半身の負担は減るんですが、減った負担はお尻やペダルにかかってきます。
そうすると今度はお尻が痛んだり、結局重いギアを使うことになったり…と言ったことにも繋がります。
マッサージやリカバリ
腰や背中、お尻の積極的にほぐし柔軟さを保つことで腰痛が出にくくすることは可能だと考えますが、これはあくまでも対処療法であって根本的な解決方法にはならないかぁと。
ポジションの見直しや筋力強化を行った上で、並行してマッサージを行うことで痛みの出にくい身体作りを目指す!くらいのポジションで考えた方がいいかもしれません。
筋力強化
より低く、遠いポジションをある程度長時間維持したり、強いトルクに耐える為にはそれ相応の筋力が求められます。日頃自転車を楽しむ中で少しずつ強化されていくことを待つのもひとつの手ですが、筋力強化を意識的に行うことでより早く腰痛と決別できるのでは、と考えます。
筋力強化の方法として筋トレはもちろんですが、SFRといった重いギアを低ケイデンスで回す練習を取り入れることによって腰痛の緩和を試みます。
筋トレを行う場合は正しいフォームとトレーニングの原理原則に則ったエクササイズを実施することで痛みやケガ等をすることなく筋力強化を行うことができますが、専門家の知識が必要です。自転車をカッコよく、かつ本気でやってみたい!という並々ならぬ情熱を持った方であれば、トレーニング指導を依頼するのもひとつの手だと考えます。それなりに費用はかかりますが、高いフレームやホイールを購入するよりも得られる物はずっと多いかなと。身体を変えることで自転車の腰痛だけでなく、日常生活をよりパワフルに、快適に過ごせるオマケ(?)も付いてきます。
SFRは重いギアを低いケイデンスで回す練習メニューのことを言いますが、この時腰痛が発生するような身体の使い方で練習メニューをこなすのではなく、
・どのように踏めば腰痛を伴なわずに重いギアを使用できるか
・腰を丸めずに踏めるギアはどのくらいか
・腰を丸めずに踏む為にはどのように上半身を使うべきか
といったことを考え、試しながら練習メニューを行うことが重要になってきます。また、このメニューは1人で行うべきだと考えます。他人と行うと競争意識が芽生え、普段よりも無理する可能性が増すからです。
SFRメニューもケガや腰痛を発症するリスクはゼロとは言いませんが、状況を自分でコントロールできる限りはレースや高強度練習よりは痛みが出にくい方法だと考えます。
自転車の乗り方を変える
「重いギアで腰が痛くなるなら軽いギアを使えばいいじゃない」
ポジションを見直す話にも共通しそうですが、そもそも腰痛が出るようなポジションや重ギアを使わずに
・(自分にとって)軽めのギアをクルクル回す
・アタックには反応しない。自分の身体で対応できる範囲で自転車を楽しむ
・激坂には行かない
・高強度の練習はしない
といった方向もある…あるのか?腰痛はイヤなので自分の限界の範囲で自転車を楽しむという方向ですが、やれることは限られてきますし、他人が自分にペースを合わせてくれるとは限りません。それに日本は山岳が多い国なので、走ると激坂は勝手に向こうからやってきます。
自転車乗りの腰痛について考える:まとめ
自転車は脚でペダルを回して進む乗り物ですが、下肢のみ独立して使用しているわけではありません。全身を連動させて進める乗り物が故に、下肢はもちろん上肢も使っての文字通り全身運動です。
スポーツ自転車を速く、遠くまで走らせる為には筋力は欠かすことのできない重要な要素です。(「スポーツ」自転車ですし)
特に女性は男性と比較して上肢の筋量が少ないために上半身を支える筋力不足から腕や腰で支えるポジションになりがちです。
男性は男性でノリとテンションと勢いで重いギア使って腰痛めたりするんですよね…。(経験談)
私自身は筋トレを選択し、現在も継続中です。専門家であるS&Cコーチの河森先生に依頼してフォームの指導とトレーニングメニューを作成頂きました。現在は作成してもらったメニューを自分なりに組み替えてトレーニングを実施しています。(Twitterに定期的に動画を上げたりもしてます。)
腰を含めた全身の痛みなくスポーツ自転車を楽しむためにもまずは自分の身体に目を向けてみるのは遠回りなようでいて近道かもしれません。
※編集後記※
2021年の最優先目標である富士ヒルまで1ヶ月を切り、練習も大詰めです。連日疲労困憊ですが後悔しないように仕上げて本番に臨みたいと思います。
その前に無事開催してくれることが大前提ですが…。どうなるかわかりませんが準備不足でベストが発揮できない!なんてことにはならないようにしていきたいですね。