どうも、アベケンです。
自転車のトレーニングに限ったことではありませんが、目標を設定し、その目標に向かってパフォーマンスを高めていくためにはトレーニング計画の立案が必要不可欠です。
1年中同じ内容のトレーニングを行い、1年中強くあろうとすることが悪いわけではありません。「私は年中強くあることが目標だ!」というのであればそれでも問題ないと思います。
しかし、大抵の人達は1年のうちに(ひょっとしたら4年に1回かもしれない!)何度か「このイベントで自己ベストを更新したい!」「この大会で優勝したい!」といった目標があると思います。それであれば、その日に向かってパフォーマンスを高めるように計画を立て、自分のピークを作って目標に挑戦するべきです。
そこで必要になるのは、目標から逆算してどの時期に、どんな内容のトレーニングに取り組めばいいのかという「計画」です。
プロ選手であればコーチや監督がトレーニング計画を考えてくれますが、アマチュアやホビーサイクリストは自身でコーチングを行わなければなりません。その為、計画の立て方を自分で知っておく必要があります。
「計画の立て方を勉強するくらいならその時間を使って練習した方が速く走れるようになるんじゃないの?」
と思う方もいるかもしれません。一生懸命練習するのは悪いことではありません。ただ、その一生懸命さが本当に目標達成に向かっているのか?ということを確認する必要があります。目標に対して明後日の方向を向いて努力してもそれは無駄な努力となってしまいます。
今やっている練習は目標に向かった練習かどうかを確認する為には計画を立て、実行し、テストを行い、結果を踏まえて計画を修正し、実行していくサイクルを回していく必要があります。
今回ご紹介する「サイクリスト・トレーニング・バイブル」は、タイトルに偽りなくセルフコーチングを行うアマチュア・ホビーサイクリストにとって「教本」となるべく本です。
計画を立てるために必要な要素を教えてくれる
・心構え
・目標設定の仕方
・ペリオダイゼーション
・リミッターの分析
・休息の大切さ
・オーバートレーニングetc…
トレーニング計画を立てる上で考慮するべき要素はたくさんありますが、それらが何故必要なのか、どんなことに気を付ける必要があるのかを分かりやすく解説してくれます。
本書の中で何より強く訴えられているのは「やりすぎによる弊害と怖さ」です。持久系の競技者は練習時間が長時間に及ぶことが多く、オーバートレーニングに陥ることが多いことを指摘した上で負荷やボリューム、強度は少しずつ上げていくべきであることを強く言及しています。
計画を立てる手順を順序立てて教えてくれる
計画を立てる要素を挙げた上で、どんな風に計画を立てればよいかの手順を懇切丁寧に説明してくれています。
読者は紙と鉛筆(もしくはパソコン)を用意して、本書を読み進めながら自分の計画書を作成していくことで、基本的なトレーニング計画を作成することができるようになっています。
基本に沿って計画書を作成した後は、その計画書に沿ってトレーニングを実施していくだけです。
最初は上手くいかないと思います。私も上手くいきませんでした(笑)というのも急遽仕事で残業しなければならなくなったり、体調を崩したり、予期しない予定が入ったり…。自身が立てた計画通りに事が運ばずイライラすることもありましたが、それについても本書の中で言及してあるので計画が破綻することはありませんでした。
一度自分で計画を立てる方法を覚えてしまえば、後は自分に合わせて少しずつカスタマイズしていくだけで世界にひとつだけの自分専用トレーニング計画が出来上がります。また、トレーニング計画を振り返り、毎年作成していくことを繰り返すことで少しずつ精度が高くなっていきます。
ケーススタディも載っており、自分の今の状況と近いケースと比較してトレーニング計画を立てるといったやり方も可能です。
必要な能力の分析方法を教えてくれる
「鎖の強さは1番弱い部分で決まる」
本書の中でとても印象に残っている1文です。
目標を達成するために自分に足りていない部分は何か?何がリミッターになっているのか?を分析する方法を本書は教えてくれます。
基礎能力となる要素、それらの基礎能力を組み合わせた応用能力とそれらが必要となるシーンを上げ、どのように補強していくべきなのかを書いてくれています。
私はこの部分を読み、自身を分析して自分に足りないのは筋力だ!と結論付け、筋トレに取り組んだことで目標としていた富士ヒルクライムでシルバーを達成することができました。筋トレが面白すぎて筋トレに関する勉強を深く始めてしまったことは誤算でしたが…(笑)
具体的なメニューは書いていない
本書のメインとなるトピックはあくまでも「計画の立て方」です。そのため、その計画の中でどんなメニューを行えばいいか?は詳しく言及しておらず、概要レベルにとどまっています。
「自分には持久力が足りていないからこの時期に持久力を養成したい!」といっても具体的な持久力を養成するためのトレーニングメニュー(この強度で○○分やった後に○○分これをやる!みたいな記述)はありません。
というのも、1度のトレーニングに確保できる時間、回数等全てが異なる自分専用のトレーニング計画を自分で作れるようになるために書かれた本の中で、時間がきっかり決まっているトレーニングメニューを掲載するのは難しかったのではないかと思います。
その為、トレーニングメニューは自分自身で考える必要がありますが、インターネットが普及したこの時代であれば検索するのはそう難しいことではないです。今ならZwiftもあるので、狙った領域に適応を促すようなワークアウトが選択可能です。
筋トレ、食事、減量等の内容は補強する必要がある
目標を達成する上で必要な要素として、クロストレーニングである筋トレや栄養に関する知識は本書だけでは足りません。これらの知識は別途補強する必要があります。サブコンテンツ的に記載はありますがいずれも概要レベルです。具体的な取り組み方やメニューに関しては別の書籍を参考にする必要があります。
自転車のトレーニング計画を立てる時に参考となる本まとめ
この本を読んだからといって自転車が速くなるわけではありません。
速くなるわけではありませんが、目標を達成するための計画を立てる時にまずこれがないと始まらない!となった私の自転車人生にとって大きな転機となった本です。
そしてこの類の本は読んだだけでは宝の持ち腐れです。読んだ内容を理解し、自分で手を動かすことで初めて役に立つ本です。オフシーズンの間に、トレーニング計画を立てる練習をするのも今後につながるトレーニングになるんではないでしょうか。
ひょっとしたら貴方の鎖の1番弱い部分は「計画性」かも…?(笑)
※編集後記※
減量を開始して少しずつ体重を削りはじめているんですが、空腹が辛い…(笑)この時期からこんなに辛くて追い込み時期がきたら一体どうなってしまうんだろうと戦々恐々です。